Case.3製品紹介
糸の品質を左右する「オイリングガイド」と「マイグレーション」を解説
化学繊維を生産する際に、その品質を左右する重要な製品が「オイリングガイド」と「マイグレーション」です。
今回は、それぞれの製品の特徴や機能、自社の商品に適した製品を見極める際のポイントや、コスト削減に貢献する新しいタイプの商品などについて詳しく解説します。ぜひ、自社に合った製品選びに役立ててください。
オイリングガイドとマイグレーションの機能
① オイリングガイド
オイリングガイドとは、合成繊維の紡糸の工程において、静電気の発生防止や、糸・生地を均一に染色するために油剤を付与する機能性ガイドのことです。
図のように、合成繊維を紡糸する際は、チップや樹脂などの材料を熱で溶かして、多数のノズルから押し出して糸状のものが作られます。オイリングガイドはノズルの下に設置されており、ノズルから出てから最初に触れるガイドとなります。まだ素材が固まりきっていない状態で触れるため、ここでダメージがあると、最終製品の品質にまで大きく影響します。
② マイグレーション
マイグレーションとは、ノズルから圧縮空気を噴出することで、オイリングガイドを使用して糸に付着させたオイルを、より均一に分散させる装置です。紡糸の最初の工程で使われる部品であり、オイリングガイドと同様に、紡糸の品質に影響を与えます。
品質を高めるガイド選びのポイントとは?
オイリングガイドやマイグレーションで使われるセラミックのガイドは、とても重要な部分です。ノズルから出てくる糸は非常に細く、また高速でガイドを通過するため、糸に適さないガイドを使用すると糸へのダメージが発生します。
糸に傷がつくことで発生する白粉がみられる場合は糸にダメージが発生している可能性が高く、ガイドが原因になっていないか確認が必要です。
糸の種類に合った表面加工&材質を選ぶ
ダメージの発生を抑えるために重要なのは、糸に適した表面加工のガイドを選ぶことです。
例えば、フラットヤーンの場合、鏡面仕上げでは接糸の面接が大きく糸への摩擦が大きくなってしまいます。梨地仕上げであれば、接糸面積が小さくなり、糸への摩擦を少なくできます。
一方、ツイストヤーンでは、梨地仕上げでは摩擦抵抗は少ないものの、ガイドと糸の凸同士が接触するため、糸へのダメージが生じてしまいます。そのため、鏡面仕上げの方が、糸へのダメージが低減されるのです。
また、糸に合わせた材質を選ぶこともポイントです。アルミナやジルコニアなどの材質の違いや、それぞれの配合比率の異なるガイドがあり、糸の種類や規格に合わせて選ぶことで耐摩耗性を向上させることが可能です。
湯浅糸道工業では、アルミナが99%の99C、ジルコニアが95%の95ZR、アルミナ80%・ジルコニア20%配合の80AZなど、材質に合わせた製品をラインナップしています。
このように、糸と相性の良いガイドを使用することによって、糸のダメージを減らし品質を高めることができるのです。
ガイドそのものの品質を見極める
同じ表面加工がされたガイドでも、メーカーによって品質が異なる場合があるので見極めが必要です。
他社製
YUASA製
こちらは、ほぼ同じ形状と表面加工(梨地仕上げ)のガイドで一見違いがないように見えますが、電子顕微鏡で表面を見比べると結晶の大きさが違うことがわかります。
上の製品は結晶が小さいため最初から摩擦抵抗が大きく、糸へのダメージが出やすく、下の製品は結晶が大きいため摩擦抵抗が少なく、糸へのダメージも生じにくいのです。
同じ種類のガイドでも、品質の確かなメーカーの製品を選ぶことが大切です。
品質と低コストを両立させるガイドを賢く使う
相性のいいガイドを使用することによって、耐久性を適切にコントロールしてガイドの寿命を延ばすこともできますが、糸や条件によってはそれが難しい場合があります。
そんな場合におすすめなのが、糸が接する部分だけを交換できるセパレートタイプです。
セラミックの部分だけを交換しやすくしたはめ込みタイプで、交換する際は中央のセラミックを外すだけで簡単にできるのが特徴です。
一般的なオイリングガイドは、機械(金属ホルダー)に接着して固定されるため、交換するときは加熱して接着剤を柔らかくしてから交換するなど手間がかかりますが、はめ込みタイプであれば、機械に取り付けたまま交換できるため、作業時間の短縮などメンテナンスコストを抑えるメリットもあります。
最適なガイド選びを糸道のプロがサポート
湯浅糸道工業では、糸道のプロとして、お客様が生産する糸に適した製品選びをサポートしています。糸の規格に合わせて細かく提案し、品質の向上をお手伝いします。ぜひお気軽にご相談ください。
※サンプルテストは必要と判断する場合だけ行います。
ご相談はお気軽に。
ご質問、お見積り依頼など
お気軽にお問い合わせください。
YUASA MEDIA運営会社
湯浅糸道工業株式会社 営業部