ストッパー「N810004」改良版で狭いスペースでも切糸検知が可能に

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ストッパー「N810004」改良版で狭いスペースでも切糸検知が可能に

繊維業界において、特に織機や準備機が多く稼働している現場では、糸を供給する部品のスペース確保が課題になることがよくあります。特に、糸ガイドやテンサー、センサーなどの部品は、生産効率に直結するため、限られたスペース内での最適な配置が重要です。
本記事では、そうした課題を解決するために開発されたストッパー「N810004」の改良版をご紹介します。このカスタマイズ製品は、狭いスペースでも非常に多くの経糸に対して切糸検知が可能となり、製織現場での効率化をさらに推進します。

 

ストッパー「N810004」

ストッパー「N810004」の機能進化とその効果

湯浅糸道工業では、「A411023」や「N312027」といった切糸検知ストッパーを多数提供してきました。また、織機や準備機など、何百本もの経糸供給を行う場合は、連結タイプのストッパー「N810004」が、多くのお客様にご愛用いただいております。

今回は、この「N810004」をさらに進化させたカスタマイズ製品をご紹介します。改良のポイントは2つあり、それにより、今までよりも様々な場面に設置できるようになり、より効率的な運用とより細かな検知精度を実現いたしました。

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6mm間隔ストッパー! 狭いスペースでより多くの切糸検知を実現

従来品では、連結されたストッパーの間隔が14.5mmと比較的広く、限られたスペースでは設置が難しいという課題がありました。
しかし、新製品では6mm8mm10mm12mmと、より狭いピッチが選択可能になり、同じスペースでもより多くの糸を走らせながら、各錘で確実な切糸検知機能を搭載できるようになりました。

 

連結されたストッパーの間隔が14.5mmと比較的広い従来品

※上記写真は従来品「N810004」になります。

6mm・8mm・10mm間隔ストッパー

※上記写真は細ピッチ品(デモ機)になります。

 

また、ワイヤー先端には、弊社のアイレットフックスリットシリーズなど、さまざまなタイプの糸道部品を取り付け可能です。ただし、ピッチの関係上、サイズは極小のものに限られます。

 

アイレット、フック、スリットシリーズ

 

特に注目すべきは、最小6mmというごく小ピッチの実現です。この限界の間隔まで追い込んだ仕様により、同じスペース内でも、従来の倍以上の本数の糸を走らせ、かつ切糸検知が可能となりました。

 

糸切れを個別に特定 現場に応じた独自の自動化機能も

通常、テンションのかかった糸が正常に走ることで、各ワイヤーを持ち上げています。本ストッパーは、いずれかの糸が切れるとワイヤーが倒れ、本体内部の通電部品が作動し、接続された赤色ランプが点灯することで異常を知らせる仕組みです。さらには、お客様の装置と電気的に接続することで、警報を鳴らしたり、停台させたりすることも可能です。

 

糸切れを個別に特定 現場に応じた独自の自動化機能

 

従来品も改良品も、この異常検知の仕組み自体は同じですが、従来品のストッパーではいずれかの糸が切れた際に通電機構を働かせる設計のため、どの糸に異常が発生したかを特定することができませんでした。

一方、新製品では、連結された各ストッパーそれぞれに通電機構を設け、配線を外部装置に接続することで、より柔軟で多機能な対応が可能となりました。
例えば、写真でも示しているように、個々のストッパー一つひとつに赤ランプを連動させることで、「一番左が切れた」など、どの糸に異常が発生したかを特定できるようになったのです。

ストッパー「N810004」デモ機全体像

※上記写真は個別配線をしたデモ機になります。

 

個々のストッパー一つひとつに赤ランプを連動

 

製織現場においては、何十本、何百本もの経糸供給の中で、たった1本の糸が切れるだけでも織物製品に不具合が生じるため、「一番左が切れた」といった細かな特定までは必要ないケースが多いです。つまり、ある程度の範囲で切糸が検知できれば、それで十分かもしれません。

しかし、製織以外の現場でご使用いただくケースや、例えばフィードローラーなどで糸が送り続けられる場合などには、ストッパーとカッターを接続すれば、異常が発生した錘だけ自動でカッターが作動し、供給元で切断できるため、異常錘のみ糸の供給を停止させる機能も構築可能です。
さらに、切れた糸ラインをナンバリングする機能を追加することで、数百本の糸の中で頻繁に切れる糸ラインを特定し、原因究明対策を講じることが容易になります。

 

このように、「N810004」をさらに進化させたカスタマイズ製品は、従来の織機・準備機が稼働する現場だけでなく、より様々な現場・装置での生産性向上やトラブル対応の迅速化に大きく貢献できます。

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3ヶ月で製品化を実現 湯浅糸道が誇る一貫体制の実力

元々、「N810004」製品のより狭いピッチへの改良ニーズは各方面から寄せられており、弊社では試作と開発を進めていました。その試作したデモ機を持ってお客様の元を回っていた際、あるお客様から「そのモデルで、配線付きの製品が欲しい」という強い要望をいただきました。

この要望に対し、湯浅糸道工業の一貫体制を活かし、社内で迅速に開発を進めた結果、わずか3ヶ月で製品化に成功しました。このスピード感を持って対応できたのは、製品の試作、評価、改善までを一貫して行える湯浅糸道工業ならではの強みです。

 

湯浅糸道工業の一貫体制

 

また、6mmという限られたスペースに通電機構やストッパーの駆動制御機構を設計・配置する技術は、長年の実績と知識に裏打ちされていること。そしてさらに今回は、既存のお客様からの「どうしても湯浅糸道の製品でお願いしたい」という強いご要望に応えるべく、社内一丸となったことで短期間での開発、かつ徹底した省スペース化が実現できたと感じております。

 

お客様の声を形に? 課題解決に挑む湯浅糸道のモノづくり

現在、繊維業界、特に日本国内では、糸の製造や加工に関連する機械や部品を提供するサプライヤーが減少傾向にあります。そのためお客様の現場では、課題や問題が発生しやすい状況と言えるかもしれません。

新たな製品が生まれる背景には、お客様からのお困りの声がきっかけとなることが多くあります。我々は常にお客様の課題解決に向けたモノづくりを追求していますが、その気付きや発展のきっかけは、間違いなくお客様の声から生まれます。

弊社のモノづくりや製品開発は、このサイクルの繰り返しです。お客様の声を大切にし、その課題を形にしてきたことこそが、創業100年を支えてきた姿勢です。

 

お客様の声を大切にし、その課題を形にしてきたことこそが、創業100年を支えてきた姿勢

 

どんなお困りごとでも、ぜひお気軽にご相談ください。これからも、お客様との協力を通じて、さらなる価値ある製品を提供し続けてまいります。

 

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