1000Dの糸切れ検出の画像

Case.1

1000Dの糸切れ検出へのカスタマイズ&検出速度UPを叶えた改善策とは?

マーケットが日々めまぐるしく変化していく中で、繊維業界では常に新しい製品の開発や、高度な生産技術が求められています。 しかし、大きな設備投資はなかなか難しいのが現状。まずは、既存の機械を活かし、性能を進化させられないか検討していくことが大切です。

今回は、織機のクリールに設置するストッパのカスタマイズによって、対応できる糸を増やし、さらに糸切れの検出速度を上げて生産性の向上をかなえた改善事例を紹介します。

 

知らないのはもったいない!既存製品の「カスタマイズ」で現場の課題を解決

企業によって、設備・加工する糸の太さ・作業速度・テンションなどは大きく異なるため、繊維産業の生産現場に求められる商品性能は多種多様です。
私たちは「糸道」という分野において多くの製品をそろえていますが、お客さまの多様な要望に応えるため、商品を販売するだけでなく、カスタマイズにも対応しているのをご存知でしょうか?

 

設計カスタマイズのイメージ写真

今回の改善事例から「こんな場合に相談できるのか!」と、ぜひイメージを持っていただければと思います。

 

ワイヤーガイドの倒れやすさを追求 糸切れの検出速度の 向上にも挑戦

今回は、使われていた織機の更新というタイミングで相談がありました。
過去の数年間に起きた問題をまとめ、改善できることがあれば機械に組み付けて改善したいという方針が示され、その中で織機のクリールに使われていたストッパの改善が持ち上がりました。

課題①:N810004-L05/R05ストッパを使用 生産品目によって糸を 変えるため、数種類の糸に適用したい

その織機では、通常3種類の糸を使用していましたが、特に太くてコシの強い1000Dほどの糸を加工する際に、ストッパが糸切れ時に倒れず作動しないという課題がありました。 確認したところ、糸よりワイヤーガイドが軽量で、糸が切れてもワイヤーガイド上に糸が張った状態が残ることが原因と考えられました。

 

D1000の写真

産業資材や高機能繊維の生産を検討する企業も増えており、このように、対応できる糸を増やしたいというニーズを持つ企業は多いのではないでしょうか。

 

解決①:ワイヤーガイドの形状を変更 1000D程度の糸の糸切れまで 検知可能に

どうすればワイヤーガイドが倒れやすくなるか、2週間ほどかけて、社内の技術課スタッフを中心に検討を重ねていきました。

設備や使われる糸などその現場の特徴を想定し、倒れやすくするための最適なワイヤーの形状をCADで設計し直しました。社内で曲げ加工を行い、サンプルを作成して、実機に取り付けてもらって2週間ほど評価を行いました。

 

図面変更の画像

結果、無事、1000Dの糸の糸切れも検知が可能に!残りのワイヤーガイドも必要数作製し対応することができました。

 

課題②:ワイヤーガイドが落ち切る前の範囲内で糸切れを検出したい

さらなる課題として、今までよりも早く糸切れを検出できないかという相談がありました。ストッパで糸切れを検出するのはワイヤーガイドが落ち切る時点ですが、それでは遅いのです。

もちろん、早く検出できれば、糸が切れた状態で織り込まれるリスクが下がり、品質の安定や作業効率の向上にもつながるため、重要な改善ポイントと言えます。

 

糸抜け停止位置の画像

 

解決②:プレートの改良を決断 営業・設計・加工まで一貫した体制で 新商品を開発

検討を重ねた結果、より早く糸切れを検出するためには、ワイヤーガイドが倒れ始めた時点で糸切れを知らせる通電プレートが接触するように、プレートの改良が必要という結論になりました。 しかし、そのためには新たな金型を作る必要があり、コストが大きくかかることが問題でした。

「実現につなげるために、コストを下げたり分散させる方法はないだろうか」 「他の企業にも、糸切れの検知を早くしたいというニーズはあるのではないか」 など、営業部内で話し合い、改良したプレートの金型を使った新商品を作り、量産することで1個当たりのコストを下げることを決めました。

 

新商品の開発イメージ写真

コスト的に試作品を作ることは難しかったのですが、パソコン上で通電プレートの動きを確認し、細部まで計算した上で金型を作成したので、要望通りの性能を持つ通電プレートを作ることができ、お客さまに喜んでいただきました。

 

YUASAは課題解決のパートナー

新商品の開発イメージ写真-社内打合わせシーン

 

何か生産現場で不具合が起き、課題があった場合は、その企業の技術や工務のスタッフが対応することがまだまだ多いかと思います。自社に合うように部分的にカスタマイズを行う場合もあり、それは、日本の技術が高いことの裏返しであるかもしれません。

しかし、トレーサビリティなど品質管理が求められていく中、我々のようなメーカーに相談いただければより安心です。

小ロットのカスタマイズから、素材の選定、大規模な商品開発まで多くの選択肢から、最適なプランをご提案します。どうぞお気軽にご相談ください。

 

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