
Case.22サービス紹介
セラミックガイドの摩耗を見逃さない!適切な定期交換で不良糸・不良製品の流出を防ぐ
湯浅糸道工業は、繊維業界に特化した糸道の専門メーカーとして、数万点以上もの製品をラインナップしています。創業100年を迎えた今もなお、糸道の長寿命化を追求した研究・開発を重ね、摩耗を徹底的に低減する高硬度なセラミック製糸道の生産に取り組んできました。
セラミック製糸道は、その圧倒的な硬度から、金属や樹脂製に比べて格段に摩耗しにくいという強みを持っています。しかし、その特性ゆえに、一部のお客様の間では、「決してすり減らないガイド」「一生モノのガイド」と誤解されるケースも少なくありません。
確かに、セラミックは高硬度であり、他素材に比べて優れた耐久性を発揮します。しかし、それでも使い続ければ必ず摩耗は発生するのです。気づかないうちに摩耗が進んでしまうと、製造ラインに影響を及ぼし、最終的には製品品質の低下につながるリスクを伴います。
この「セラミック糸道の摩耗」について正しく理解し、適切な管理を行うことこそが、安定した生産量の確保と、高品質な糸製品の製造につながるのです。
糸製品の品質管理 ━ 摩耗したガイドがもたらす不良リスク
紡糸、巻き取り、仮撚加工、布製品の加工、染色、縫製━━こうしてようやく、糸は衣類や機能性を備えた布製品へと生まれ変わります。糸製品が完成するまでの工程は非常に長く、いくつもの段階を経てようやく形になります。
しかし、特に「紡糸」や「巻き取り」という糸製造の段階で、ガイドに摩耗や傷がある状態で生産を続けてしまうと、「不良糸」が大量に発生し、それがそのまま不良製品として市場に送り出されてしまうリスクにつながります。不良品が発生すれば、顧客クレームや生産ロスによる損失が増大し、結果として企業にとって大きなダメージをもたらします。
計画的なガイド交換が不良品発生を防ぐ鍵
こうしたリスクを回避するため、「不良製品を決して排出しない」ことを徹底管理している企業様では、高硬度なセラミック製であっても、紡糸・巻き取り工程でのガイドを、定期的に交換する体制を整えています。特に、大手の糸メーカー様では、「摩耗の度合いを都度判断して交換する」のではなく、一定の使用期間ごとに、計画的なガイド交換を実施する管理体制を確立しているケースも少なくありません。
「摩耗したガイドを使い続けるか、計画的に交換するか。」
この違いが、最終的な製品の品質と企業の信頼性に直結すると、湯浅糸道工業は考えております。
摩耗スピードの誤解 ━ 糸の走行速度だけが原因ではない
糸がガイドを走る速度が速ければ速いほど摩耗が進む━━これは間違いではありません。しかし、摩耗スピードは単純に走行速度に比例するわけではないということを、ぜひ知っていただきたいのです。
たとえば、1分間に100mの速度で糸が走る環境と、1分間に1000m走る環境では、単純に寿命が10倍違うのか?答えは「NO」です。1分間に100mの速度で10年使用した場合と、1分間に1000mの速度で1年使用した場合、同じ摩耗量になるとは限らないのです。
もちろん、糸の速度が速ければ摩耗が激しくなるのは事実です。しかし、それ以上に、「糸の種類や原料」によっても摩耗の進行具合は大きく変わります。
繊維の断面形状が摩耗に与える影響
糸製品は、基本的に非常に細い繊維の集合体。たとえば、天然繊維や化学繊維など、それぞれの素材を束ねて作られています。糸の断面を見てみると、繊維一本一本が丸いものもあれば、角ばった繊維もあることがわかります。
角ばった繊維を含む糸の場合、ガイドと接触する際の摩擦が大きくなり、当然、ガイドに与えるダメージは増加します。そのため、同じ条件で走行させても、角ばった繊維を含む糸のほうが、ガイドの摩耗スピードは速くなるのです。
この違いが、ガイドの摩耗に大きく影響を与える要因の一つとなります。
糸の原料による摩耗への影響 ━ フルダル糸と原着糸
糸の原料によっても、ガイドの摩耗具合は大きく異なります。例えば、合成繊維にはポリエステルやナイロンなどさまざまな種類があり、それぞれに数多くのバリエーションが存在します。その中でも、「暗い糸」と「明るい糸」という分類があるのをご存じでしょうか?
フルダル糸
具体的な製品を挙げると、女性の水着や白いワイシャツなどがこれらの代表例です。これらは、下着の透けを防ぐといった機能を持っており、「光を通さない」特性が求められるため、特殊な糸が使用されています。
このような用途には、「フルダル糸」がよく使用されます。フルダル糸には、光を遮断するために「チタン」が多く含まれており、その含有量が多くなれば、糸道への摩耗も大きくなります。
原着糸
さらに、繊維業界の中で最も色の濃い糸とされるのが「原着糸」です。たとえば、学生服や礼服など色の濃さが求められる場合に、原着糸が使用されます。
特に「黒原着糸」は、最も摩耗が激しい糸の一つです。これは、光による退色を防ぐために「カーボン」が含まれていることが主な要因です。このカーボンがセラミック製のガイドと接触することで、摩耗スピードが格段に速くなります。
このように、糸の原料や種類によって、ガイドに与えるダメージは大きく異なります。たとえ、同じ速度・同じ張力・同じ使用期間で運用した場合でも、使用する糸の種類次第でセラミック製ガイドの摩耗スピードは大きく変わるのです。
近年では、フルダル糸や原着糸を扱うケースが増えてきたため、ガイドの摩耗は常に課題となります。そのため、いくら硬度の高いセラミック製ガイドであっても、定期的な交換は欠かせないのです。
湯浅糸道工業の強み ━ 最適なガイド交換周期のプランニング
湯浅糸道工業は、創業以来、日本を代表する糸道製品メーカーとして、繊維業界に特化した豊富な実績と知見を蓄積してきました。単に糸道製品を提供するだけでなく、ガイドの摩耗管理や交換周期の最適化といった、お客様の生産現場に応じたプランニングを行うことも強みの一つです。
そのため、多くのお客様からガイドの摩耗状況を調査し、交換の最適なタイミングをマニュアル化するためのサポート依頼をいただいています。弊社では、最もコストを抑えながら適切な交換周期を設定できるよう、科学的なエビデンスに基づいたプランニングを提供しています。
科学的な調査で最適な交換サイクルを提案
ガイドの摩耗は、決して人の目で確認できるものではありません。表面の摩耗が進行していても、目視ではわからず、気づいたときには糸の品質に影響を及ぼしているケースも少なくありません。
そこで、弊社では摩耗状況を的確かつ詳細に評価できる測定設備を整えており、客観的なデータに基づいた提案が可能です。
・高精度のマイクロスコープ、電子顕微鏡(SEM)によるナノレベルの高解像度画像
・ガイドの摩耗を数値化し、交換時期を適切に判断
新品の糸道製品を導入いただいた後、1ヶ月後、3ヶ月後、半年後、1年後…と定期的に摩耗状況を調査することで、エビデンスをもって最適な交換周期を提示いたします。
下記リンク先のページでは、湯浅糸道工業の検査設備を紹介しています。精密測定機器による高精度な品質管理の取り組みをご覧いただけます。
> 湯浅糸道工業の測定設備についてはこちら
摩耗調査で原因を特定 ━ 他社製品の調査も可能
湯浅糸道工業では、弊社製品だけでなく、他社製品の摩耗調査も対応可能です。
実際の事例として、弊社の糸道製品を使用する現場で、糸の毛羽立ちが発生するという問題が報告されました。原因を特定するため、まず弊社の糸道製品を詳細に調査しましたが、明確な摩耗や異常は確認されませんでした。そこで、さらにヒアリングを進めたところ、弊社製品が設置されたライン上に、他社製のガイドも使用されていることが判明しました。
後日、そのガイドを調査した結果、内部に傷があり、さらに金型製造工程で発生するPL痕(バリ)が残っていることが分かりました。
このように、摩耗調査を行うことで、想定していなかった原因が明らかになるケースも少なくありません。湯浅糸道工業では、お客様の現場における課題解決のため、他社製品も含めた調査を実施し、状況を正確に把握するサポートを行っています。
また、専用設備による摩耗調査は、基本的に無料で対応しております。摩耗の進行状況を適切に判断し、最適な交換サイクルをご提案することで、お客様の製造現場の安定稼働を支えます。
「ガイドの摩耗を適切に管理し、不良糸を未然に防ぐ」
そのための最適な交換周期のご提案は、湯浅糸道工業にお任せください。
再生加工による新たな価値創出 ━ 再HF加工の実用化
湯浅糸道工業では、お客様が現場で糸道製品を使用するうえでのコストパフォーマンスの最適化に力を入れています。単に高品質な糸道製品を提供するだけでなく、「再生加工」という新たな価値を創出し、使用済みガイドを有効活用する取り組みを推進しています。
これまでにも、摩耗したガイドの「再めっき」や「再研磨処理」を提供してきましたが、今回、新たな試みとして、「再HF加工(再梨地加工)」の実用化に成功しました。これは、使用済みのセラミック製ガイドの表面をフラットに削り、再度HF加工(梨地加工)を施すことで、ガイドの性能を蘇らせる技術です。
大手糸メーカー様での実証実験でも高く評価され、実用化に向けた導入が進んでいます。
「物価高騰の中、再生加工を活用することで、お客様のコスト削減に大きく貢献できる」
これこそが、湯浅糸道工業が提案する、これからの糸道製品の新たなスタンダードです。
「糸道プランナー」としてお客様の製造現場を支える
私たちは、単なる糸道メーカーに留まらず、「糸道プランナー」や「糸道コンサルタント」として、繊維業界の現場を支える存在へと進化することを目指しています。
「ガイドの交換サイクル最適化 × 再生加工 × 科学的な摩耗調査」
これらを組み合わせた湯浅糸道工業のサポートが、貴社の生産現場の品質向上とコスト削減に貢献します。ぜひ一度、私たちの技術をお試しください。湯浅糸道工業は、お客様の生産現場とともに歩み続けます。
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湯浅糸道工業株式会社 営業部